安いインプラントは大丈夫?札幌の費用相場は?歯科医院で価格が違う理由について
歯を失った場合の治療の方法はインプラント、ブリッジ、入れ歯の3つの方法があります。
保険が適用となる治療もあればインプラントのように自費診療となる方法もあります。
自費診療は、それぞれの歯科医院ごとで治療にかかる費用が異なります。患者様の立場から言えば料金が安いのに越したことはありません。しかし、本当に「安いインプラント治療」は大丈夫なのでしょうか?
今回は札幌のインプラントの費用相場および歯科医院ごとに価格が違う理由について詳しくご紹介させていただきます。おすすめの歯医者がなかなか見つからず、インプラント治療を検討されているかたの参考になれば幸いです。
1. 札幌市内のインプラントの費用相場
札幌のインプラントの費用相場ですが、あくまでもホームページなどでわかる費用では全ての内訳を公開しているとも限りません。金額と内容が全て同じ条件であることはまずあり得ません。また、どこの歯科医院でも実際には患者様の口腔内の状態によって変動することをご理解ください。
札幌のインプラント1本あたりの費用相場は「40万円~50万円」
札幌にはインプラント治療を行なっている歯科医院が多数ありますが、現在、札幌市内でインプラント治療を受けた場合、前歯か奥歯かによっても料金が変わることもありますがインプラント1本あたりの費用相場は約40万円~50万円となっています。
これは、東京や大阪の歯科医院と比べてもほぼ同じくらいの費用相場です。
ほとんどの歯科医院が上記の費用の範囲内で治療を行っていますが、中には1本10万円以下、という格安価格でインプラント治療をしている歯科医院も見受けられますが、あくまでも集客目的での金額で実際にはそれ以上の費用がかかると思ってください。
もしも10〜20万円で実際に行っていたらちょっと大丈夫かな?と怪しんだほうがいいです。
インプラント治療が高額なのはなぜ?
1本あたり数十万円の費用がかかるインプラント治療。けっして安い金額と言えるものではありません。しかし、インプラント治療が一般の歯科治療と比べて高額になるのは理由があります。
それは手術が必要だからです。
インプラントはあごの骨にインプラント体(フィクスチャー)を直接埋め込み、人工の歯根を作る治療法です。当然、外科的な手術が必要になります。また、外科手術を行うため事前にあごの骨や歯ぐき、お口の中の健康状態をチェックしたり、神経、血管の位置をCTスキャンで調べるなど、精密な検査もかかせません。
これらの理由から、インプラント治療は一般の歯科治療よりも高い価格に設定されています。
2. どこまでの費用が含まれているのか?
インプラントの治療にかかる費用がどこまで含まれているのかは実は歯科医院ごとで違います。総額の費用だと思っていたら、後々、追加で費用がかかることになると不信感に繋がってしまいます。インプラントの治療の流れに沿って費用がかかりそうなところを解説します。
相談・検査
初診の費用に関しては無料の歯科医院も多いですが、お悩みや不安なことを相談したり、一般的なインプラントの治療についての説明だけで、検査や診断には費用がかかる歯医者さんも多いです。
インプラント治療の検査、診断にはCTの撮影が必須です。CTで顎の骨の状態を撮影したうえで、歯科医師が診断を行い、治療計画を立て、見積もりを作製するというのが一般的なカウンセリングの流れです。
クリニックによってはそうしたCTの撮影や診断にかかる費用を無料にしているクリニックもありますが、CTの撮影と診断の費用はおおよそ5,000円〜10,000円が相場です。
最近は安い歯科用CTも増えていますが、インプラント治療を行うにあたって、CTの精度は極めて重要でで、そのデータを管理するサーバーやメンテナンス、保守など、様々なお金がかかってきます。
歯科医師が行う診断も含めると適切な費用相場だとは思います。
事前処置
いきなりインプラントの手術を行う歯医者はさすがにないと思います。基本的にはインプラント治療を行う前にお口全体のクリーニングを行います。
虫歯治療など、インプラント手術を行う前に治しておいたほうがいい箇所は先に治療を行います。
こうした治療の費用に関しては、インプラントの費用には含まれておりませんので、インプラント以外にも他に治療するところがないか事前に確認しておいたほうがいいです。
一次手術
インプラントを埋入する手術を行います。インプラント手術には一次手術と二次手術があります。
インプラントを埋入するのが一次手術で、埋入したインプラントとアバットメントを連結させるのが二次手術です。
インプラント手術の費用というのは一般的に一次手術と二次手術の費用を含めた金額です。
埋入するインプラントのことをフィクスチャーと呼びますが、インプラント手術には様々な専用の備品や器具が必要となります。他にも専用の手術室や滅菌システムなど感染対策にもコストがかかってきます。
インプラントの手術費用が極端に安い場合は、信頼性の低いインプラントメーカーを使用していたり、感染対策が行き届いていないかもしれません。
また、麻酔にも通常の歯科治療で使用する麻酔のほかに、静脈内鎮静法や笑気ガス鎮静法など、気持ちをリラックスさせる麻酔もよく使われています。
手術料金に含まれているところもあれば、別途料金が必要になるところもありますので、手術に対して不安な気持ちが強いかたは事前にそうした麻酔があるかも確認しておいたほうがいいでしょう。
また、移植が必要かどうかでも費用は変わってきます。
治癒期間
埋入したインプラントと顎の骨とが結合(くっつく)するまで下顎の場合は3ヶ月、上顎の場合は6ヶ月待ちます。
この間、1ヶ月に1回程度、経過観察やクリーニングで通院するのが一般的です。
その際の金額は手術費用に含まれている歯科医院がほとんどですが、まだインプラントには上部構造がない状態ですので、この治癒期間中に仮歯や入れ歯が必要な患者様もいます。
そうした場合の仮歯や入れ歯は別に料金がかかる歯科医院がほとんどですので確認しておいたほうがいいです。
二次手術
インプラント一次手術と同じ日に一回で行うこともあれば、治癒期間を経てから二次手術を行うこともあります。
上部構造の製作
インプラントに被せる上部構造を製作していきます。インプラントの手術費用とは別に上部構造の費用がかかるのが一般的です。
上部構造にも素材やインプラントとの固定の方法など様々な種類がありますので、どのような素材でどのような固定方法か確認しておくのがお勧めです。
メンテナンス
インプラントに上部構造を装着した後はメンテナンスで通って頂きます。いわゆる定期検診です。
インプラントは虫歯にはなりませんが歯周病にはなりますのでしっかりメンテナンスを受けてください。たまに「インプラントしたらメンテナンスを受けないといけない」と仰るかたもいますが、インプラント関係なく、天然歯でも入れ歯でも、たとえ抜け落ちる乳歯でも、メンテナンスは必要です。
メンテナンスの内容も歯医者さんによって様々です。インプラントの箇所だけの歯医者さんもあれば、インプラントだけでなく、天然の歯含めてお口全体を視る歯医者さんもあります。
メンテナンスの費用に関しては治療費用には含まれていませんので、あらかじめ、内容とどれくらいの費用がかかるか確認しておいたほうがいいです。
内容によって様々ですがメンテナンスの費用の相場は5,000円〜15,000円です。
また、治療後の起こりうるトラブルとしては、「インプラント周囲炎」「インプラントの再手術」「上部構造の修理、作り直し」があります。
これらのトラブルがあった際の費用や保証内容に関しても確認しておいたほうが安心です。
3. 歯科医院によって費用が違う理由
インプラント治療は札幌市内の平均相場で1本あたり約40~50万円の費用がかかります。
しかし、札幌だけを見ても、市内には平均相場で治療を行っているところもあれば、中には1本10万円以下の激安価格のクリニックも存在します。
なぜ、歯科医院によって費用が異なるのでしょうか?その理由について詳しくご説明します。
インプラント手術をする術者の技術力と経験
日本の歯科医師法では、インプラント治療は歯科医師の免許があれば誰でも行えることになっています。診療科目としては口腔外科に入りますが、歯を抜く抜歯とも違い、専門的な知識と技術が必要となっています。
そのため、安全にかつ的確にインプラントをするには術者の技術と経験が必要になります。
現在、日本ではインプラント治療を行うにあたって
・インプラントメーカーが主催するセミナーで学ぶ
・日本口腔インプラント学会に所属して学ぶ
・臨床の現場で歯科医師から指導を受ける
・歯科医師が主催するセミナーで学ぶ
上記のようにセミナーや学会、もしくは勤務先で学ぶことが一般的です。
どんなことでも誰から学ぶかというのは非常に大切ですし、簡単な症例から難しい症例まであらゆる患者様に対応するためには国内だけでなく海外にも積極的に勉強しにいかなければなりません。
そのようにして知識、技術、経験を高めていくしかありません。手術の技術だけでなく、インプラント治療を行うにあたっての診断に関しても歯科医師ごとで様々です。
もちろん、「技術が高く経験が多いからいくらでも価格を高くして良い」というのはモラル的にいささか問題があります。しかし、自費診療であるインプラント治療において歯科医師の技術と経験に見合う対価(=治療価格)を設定すること自体は何ら不自然ではありません。
使用するインプラントメーカー
インプラント治療で使われるインプラント体(あごの骨に埋め入れるネジの部分)にはさまざまな種類があります。
海外・日本国内のインプラントメーカーのほか、海外のメジャーブランドから派生したジェネリック製のインプラント体も存在しており、各メーカーごとに価格設定が異なるのが現状です。
使用する素材が高価で、高度な製造技術を持っており、多くの臨床実験の実績があるような高品質なインプラントメーカーのインプラント体などのパーツの価格は高いです。
それに対し、後発のインプラントメーカーは世界的にシェア率が高いメーカーに比べて値段が安価です。そのため品質に関しても不透明な部分が多いです。
インプラント手術の費用を安価に設定している歯医者さんはもしかするとあまり聞いたことのないインプラントメーカーのパーツを使用しているかもしれませんので注意が必要です。
インプラント体はそれぞれのメーカーによって材質や形状が異なります。現在、海外や日本で広く使われている人気のインプラントメーカーには以下のようなブランドがあります。
・ノーベルバイオケア(ノーベルバイオケア社/スウェーデン)
世界初の実用的なインプラントの開発者であるブローネマルク博士の名前を冠したインプラントシステムです。インプラント体の先端がネジの形状をしており、あごの形にフィットしやすいのが特徴です。インプラントのメーカーとしてはパイオニアということもあり、長期的なエビデンスも取れています。
・ストローマン(ストローマン社/スイス)
ネジの表面にざらざらしたSLA加工をほどこしたインプラント体です。SLAによって加工されたチタン金属はあごの骨とより結合しやすい、という特徴をもっています。結合力が高いため短いネジに応用でき、欧米人と比べてあごの骨の高さが短い日本人に適している点も人気の理由です。現在のシェア率は世界トップです。
・アストラテック(デンツプライ社/スウェーデン)
特別に改良されたチタン金属でできており、あごの骨との結合にかかる時間が短い、という特徴をもっています。インプラントのデザインも審美性が高く、天然の歯並びに近い仕上がりを再現できます。
・POI(京セラメディカル社/日本)
京セラは日本国内ではもっとも歴史のあるインプラントメーカーです。シェア率も日本トップを誇ります。結合力を強化したハイドロキシアパタイト(HA)仕様のインプラント体で骨が少ないケースにも適用できる、という特徴があります。
・AQB(アドバンス社/日本)
HA加工の特許を持つアドバンス社のインプラント体です。他社と比べて速い時間であごの骨と結合ができ、価格も安価なのが特徴です。
・プラトン(プラトンジャパン社/日本)
日本国内の歯科医師の声を反映したインプラント体でサイズのバリエーションも豊富、さらに価格も安価という特徴をもっています。
◆信頼できるインプラントメーカーを選ぶことが大切です◆
上記以外にも海外や日本には多数のインプラントメーカーが存在します。
中には性能の低い製品もあるため、治療が成功するかどうかはインプラント体のブランド選びが非常に重要なポイントになってきます。
感染対策
患者様に外科処置を行うインプラント治療では徹底した感染対策がかかせません。感染を防ぐには以下のような機器を使うことやあらゆる状況を想定した感染対策の姿勢が求められます。
・治療器具の滅菌を行うオートクレーブなどの滅菌処理器
・使い捨てできる物はすべてディスポーザブル製品を使う
・治療中に使用する水は浄化水や殺菌水を使用
また、感染対策以外にも診療時に以下のような高度な精密機器を使用することで治療の精度が高まります。
・あごの骨や血管、神経の形状を立体的に把握できる歯科用CT
・肉眼では見えない細かな部分を確認できるマイクロスコープ
これらの機器は非常に高額な物も多く、設置にはかなりの費用が必要になります。このため、充実した設備や精密機器をどれだけ揃えているかがインプラント治療の価格面に反映されることもあります。
専用の手術室の有無
インプラント手術を通常の診療台で行なっている歯医者さんもあれば、インプラント専用のオペ室で行なっている歯医者さんもあります。
感染対策の面からでも専用の手術室を完備している歯医者さんのほうが安全です。
また、手術は術者一人で行うわけではなく、アシスタントスタッフが必要です。安全性を高めるためにも術者が治療に専念できる環境をつくれるかどうかはアシスタントスタッフの存在にかかっています。
院長だけでなく、アシスタントスタッフも知識や技術が必要であり、手術に携わるスタッフは1人だけでなく、複数名のスタッフがアシストに携われるような体制のほうがより安全です。
インプラント上部構造の種類・材質
上部構造とは、インプラント体の上部に取り付ける人工歯(歯冠)にあたる部品です。上部構造には以下のような種類があります。
・ジルコニアセラミック
人工ダイヤモンドのジルコニアの土台の上にポーセレンセラミックを焼き付けた上部構造です。強度が高く、耐久性に優れているという特徴があります。審美性はオールセラミックより多少劣ります。
・オールセラミック
人工歯すべてを陶器であるセラミックで作製した上部構造です。非常に審美性が高く、天然歯と同じかそれ以上の美しさを再現できます。100%陶器製のため、ジルコニアセラミックと比べて割れや衝撃に弱いのがデメリットです。
・メタルボンド
歯の内側部分が金属、表面がセラミックでできた上部構造です。強度が高く、割れや衝撃に強いという特性をもっています。内側が金属製のため透明感のある白さを再現できず、歯ぐきが黒ずんで見えてしまうというデメリットがあります。金属アレルギーの患者様には使用できません。
・ハイブリッドセラミック
セラミックにレジンというプラスチック樹脂をミックスして作製した上部構造です。上記の上部構造と比べて安価なのがメリットですが、時間が経つと黄ばんでくる、ジルコニアやオールセラミックよりも耐久性の面で劣る、仕上がりの見た目が少々不自然になる(人工的になる)、など、デメリットも少なくありません。
◆価格だけではなく機能面や審美性もチェック◆
上記の上部構造は一般的に上から下に行くにつれて価格が安くなります。(ジルコニアとオールセラミックは同じくらいの価格設定のところもあります)
上部構造を選ぶ際には価格だけではなく、どれだけの耐久性があるのか、金属アレルギーに対応しているのかなどの機能面や、天然の歯にどれだけ近づけるのか、といった審美性もチェックするようにしましょう。
歯科技工士の技術
歯科医院ごとにインプラント治療の価格差が生じる理由としては、素材だけでなく、歯科技工士の技術の違いも大きな理由のひとつです。
同じ材料を使っていても当然作り手によってその出来栄えは違います。
綺麗な歯、綺麗な歯並びというのは感覚的なものだけでなく、ゴールデンプロポーション(黄金比)という、美しく見える比率(理論)があります。
歯の形も様々で丸っぽいほうが似合う人もいれば、ちょっと四角っぽい歯のほうが似合う人もいます。
色も、ただ白ければいいわけではなく、透明感があり、他の歯と調和が取れて自然かどうかが大切です。
また、見た目だけでなく、歯科医師と打ち合わせをしながら口腔内全体のバランスを考慮して噛み合わせも考えていく必要があります。
こうしたことを総合的に考えて歯科技工士は「美しい歯」を作っていきますので当然技術の差は大きいです。
3. セカンドオピニオンについて
提示された治療の費用は、総額なのか?どこまで含まれているのか?しっかりと説明してくれる歯医者さんのほうが後々のトラブルは防げます。
当院にも他の歯医者さんのお見積もりを持ってセカンドオピニオンで来院される患者様もいます。お見積もりに詳しく書かれていることもあれば、私たちが見ても、よくわからないお見積もりもあります。
そうした場合は、「ここに関して確認したほうがいいですよ」とお伝えさせて頂いています。
誤解が生じ、それが原因でトラブルになってしまうのはお互いにとってよくありません。診断や治療計画のこと以外にも、そうした治療費のことでもセカンドオピニオンをご活用ください。
4.まとめ
インプラントの費用相場およびインプラント治療に価格差が生じる理由についてご説明をさせていただきました。
インプラント治療には「適正な価格」が存在します。術者の技術や経験のほか、使用する素材、歯科医院の設備など、さまざまな要素が治療価格に反映されるのがインプラント治療です。
GDHインプラントオフィス札幌では、治療の安全面は確保しつつ、患者様にはできるだけ低価格でインプラント治療を受けられるように「適正価格」であることを大切にしています。
そうは言っても決して安くない治療費です。全額まとめて支払うお金がないという方には、治療費を分割してお支払いできるデンタルローンをご利用頂けます。なかには銀行のローンを利用されるかたもいます。分割払いも含めて、支払い方法についても医院ごとで様々ですので相談してみてください。
また、インプラントの治療費も医療費控除の対象となります。所得税は還付され、住民税は減税されますので、そうした少しでも治療費のご負担を軽減できる方法についてもしっかりご説明させて頂いております。
インプラント治療はどこで受けても同じではありません。
また、治療時の料金が安いか高いかは長持ちするかしないかによっても変わってきます。
将来「やらなければよかった」と後悔されないためにも、歯科医院を選ぶ際は価格面の比較だけではなく、歯科医師の技術や経験のほか、今回ご紹介した上記の項目など、総合的に判断していただければ幸いです。